投資判断をAIに任せるヘッジファンドも登場

いま人工知能(AI)が熱い注目を集めています。チェスや囲碁の世界的プレイヤーがAIに敗れる風景は珍しくなくなりました。株式投資の世界でも、株価予想にAIを役立てる試みがなされる一方、投資判断のすべてをAIによって行うヘッジファンドも登場しています。金融ビジネスでは、Fintechの中核技術としてAIの活用が一段と加速してきました。それでは、AIは不動産投資においてもその能力を発揮できるのでしょうか。

 

不動産の取引はもともとAIによる自律化、自動化とは馴染まないものでした。不動産は物件の一つ一つが「個別性」を有し、その特徴や価値を単純に数値化することは難しいからです。また不動産の運用・管理に当たっては、建物や設備に関する高度な知識を持った専門家の判断や公的資格保有者の関与が求められますし、一般の消費者が不動産を購入する場合は、購入決定までのプロセス自体が楽しみとなるケースも多いでしょう。

AIで不動産価値を算定する

しかし私たちは、AIや機械学習(ディープ・ラーニング)は不動産投資においてもその実効性や効率性を高める使い勝手の良いツール になり得ると考えています。不動産の売買においては、不動産のエリアなどの地域的要因と、土地の形状や建物のグレードなどの個別的要因によって、おおまかな物件価格を算定することができます。さらには物件の稼働率、テナントの属性、管理状況などの情報があれば、この算定はより精緻なものとなります。不動産取引には不確定要因が多く、計算によって得られた数値をそのまま信用することはできませんが、ディール(案件)の数を増やすことで精度は高まります。また人間の「目利き」とAIによるデータ解析を組み合わせることで正確を期すことができます。

 

AIやディープ・ラーニングを稼働させるためには、人間が前提条件を設定し、計算のルールを決めなければなりません。そして前提条件やルールが実態に即したものであればAIの出した回答は一定の妥当性を持つことになります。AIは意思決定を行うことはできませんが、意思決定を支える有益なツールになると私たちは感じています。

フェアなマーケットの形成に寄与

AIやディープ・ラーニングの適用領域は、不動産の価格を算定する局面にとどまりません。SNSの入会審査、投資家一人一人のニー ズに合った物件のレコメンド、流通情報の共有化など、その適用範囲は無限に拡がっていくと思います。AIが人間の仕事を奪うので はないかと危惧する識者もいますが、私たちはAIと人間は共存できると考えています。5年、10年とディールを積み重ね、多様な変数に比較的正確な数値を設定できるようになれば、AIは人間の力強いサポーターになるでしょう。またAIの浸透は不動産情報の透明性を高めることにつながり、フェアなマーケットづくりに寄与するでしょう。

 

不動産テックの進展やAIの積極活用に典型的に見られるように、不動産業界はいま時代の転換点を迎えていると思います。私たちロードスターグループは、これからの不動産ビジネスを担う専門家集団として、また起業家精神を持った挑戦者として、常にトレンドの先端に立ち、時代を切り拓いていきたいと考えています。

Visionary Members

岩野 達志
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岩野 達志

岩野 達志

代表取締役社長

(不動産鑑定士)

久保 直之
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久保 直之

久保 直之

取締役

(不動産鑑定士,MAI,CCIM,

不動産証券化協会認定マスター)